ちょっと何言ってるかわからない伊藤弁護団

1.伊藤山口裁判控訴審において、伊藤弁護団が提出した控訴答弁書、附帯控訴状の中で驚くべき主張をしていることが判明した。紹介しつつこのなぞ弁護について考察する。

 

(1)まずいつもお世話になっている小林章さん裁判資料(控訴答弁書)より


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注目すべきは『控訴人(山口氏)の上記行為による膝の痛みと、元谷整形外科で診断された「右膝内障」「右膝挫傷」との間に因果関係があるとの主張は一切行っていない』との主張である。

 

あれだけ著書において膝の痛みについて書いているにもかかわらず因果関係の主張はしていないと、主張している。

 

因果関係を主張しないのであれば、なぜ整形外科の診断書を提出したのだろうか?

 

(2)一審では因果関係は立証できていないが、膝の痛みが性行為によるものであるという事実はもちろん「主張している」。

 

判決文より引用する

『原告は、本件行為後の4月6日、元谷整形外科において右膝内障及び右膝挫傷と診断された事実が認められるところ、同傷害が原告が記憶を喪失した時間中に生じたものであることは窺われるものの、本件行為により生じたものか、それ以前の経過の中で生じたものであるかは証拠上明らかではなく、本件行為により生じたものと断ずることには至らない。』(判決文p30)

 

判決でわかるとおり一審において膝の怪我について「因果関係」を判断している。判断しているのは原告側から主張があり争点になっているからである。

裁判所が当事者の主張していない事実について「勝手に」判断したというのだろうか。

あるいは主張しつつ因果関係は立証しないという不誠実な態度で裁判に臨んでいたのだろうか。

 

伊藤弁護団は何を主張しているのか?ちょっと何言ってるかわからない。

 

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(3)さらに附帯控訴状でも以下のような記載がある。(小林章さん裁判資料より)


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 (赤字囲みは筆者)

 

「敗訴部分を取り消す」とある。

判決文全体からは伊藤さん側の敗訴部分とは「膝の怪我と本件行為との因果関係につき認められなかった」以外に考えられない。

 

(4)また、附帯控訴状の別部分では以下のような記述がある。


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上記記載から明らかなように一審で膝の怪我について裁判で因果関係を判断していたことは伊藤弁護団もお認めになっている。

 

(5)さらに上記伊藤弁護団の主張は、一審判決の無理解と、一審判決の不合理性を理解していないことがはっきりとわかる。

 

判決文(反訴部分)について引用する

『原告は、被告から本件行為をされた際に、乳首や腕、右腰を負傷したこと、被告は、原告に下着を返す際に、下着だけでも土産として持ち帰りたい、いつもは強気なのに困った時は子供のようで可愛いなどと述べたことが認められる。これらによれば、別紙記述目録1ないし3が適示する事実は真実であると認められる。』(判決文p32)(下線部は筆者)

 別紙記述目録3とは乳首等出血の著書の記載である。

 

まず、上記反訴部分の判決文で「膝の怪我」について記述がないことに注目すべきである。なぜ記述しなかったのか、それは本訴で膝の怪我について因果関係を認めなかったからである。

一方で乳首等の負傷は彼女の供述、あるいは著書だけ(カルテ、診断書等なし)で「真実」と認めてしまっている。多数ある一審判決の不合理性の1つである。

判決では本訴部分と反訴部分の判断が矛盾しないように裁判官達は巧妙に「敢えて」膝の部分の怪我について反訴部分では言及していないのである。

論理性の高い裁判官ならではともいえる。

 

ところが、伊藤弁護団は上記附帯控訴状で「原判決は、被控訴人(伊藤氏)の体の痣、出血、右膝の痛みについて控訴人の行為と断ずるには至らない」と並列的に書いてしまった。

判決文を正しく理解していないことはもちろん、裁判官の苦しいながらになんとか整合性をとろうとする機微、努力を無にし、判決の不合理性を明らかにしてしまった。なんとも恥ずかしい理解力である。

 

 

(6)もう一度上記附帯控訴状を読むと整合性や論理性に欠ける主張だと気が付く。

文頭では「体の痣、出血」「右膝の痛み」と書いていたにもかかわらず

文末では「体の痣、出血」が消滅している。どのような主張がしたいのだろうか?

また、上記怪我の根拠が「事件後の伊藤氏の供述の一貫性」であることにも注意が必要である。強姦行為を一貫して主張すると「可能性が極めて高い」怪我が認められるのだろうか?

 

避妊なき性行為をすることと怪我が結びつくのはなぜだろうか?

押さえつけると膝の怪我をする可能性が高まるとはあまりに抽象的ではないか?

恐らく伊藤弁護団は「因果」と「相関」を誤解しているものと考える。

 

「可能性が極めて高い」、「可能性は十分」なのであれば、なぜ高輪署は強姦致傷で捜査しなかったのだろうか?

あまりに論理性に欠ける主張である。

 

以上のように伊藤弁護団は伊藤氏を弁護しているのか、逆弁護しているのか意味不明なケースが目につく。まるでアクセルとブレーキを両方踏むような・・・どちらなのでしょう?

 

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2.膝の怪我の立証について

 

(1)膝の怪我の痛みが発生した時期についても伊藤弁護団はなぞ答弁をしている。


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(下線赤字は筆者)

著書p65の最初を引用する。

「右膝が激しく痛み、歩けないほどになっていた。翌日は日曜日だったので、月曜日まで病院へ行くのも待たなければならない。」

この記載は前ページより本件性行為当日、帰宅した深夜12時前頃のエピソードである。

 

当事者尋問での裁判所からの質問について

弁護士ドットコムより

伊藤詩織さんに山口さん代理人「被害後に加害者を気遣う言葉、社会常識ではありえない」 - 弁護士ドットコム


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以上を読み比べてみれば伊藤弁護団の珍術は明らかである。

著書によると右膝の痛みを最初に意識したのは、4月5日の友人の食事の時ではなく、遅くとも4月4日深夜のことである。痛みの認識時が明らかに変遷している。

 

(2)膝の怪我を主張するのであれば受診した整形外科の医師を証人申請する必要があるのではないか?

「凄い衝撃を受けて、膝がズレている。手術は大変なことだし、完治まで長い時間がかかる」著書より

このように医師が伊藤さんに言ったのか。レントゲンすら撮っていない。

 

(3)伊藤さんは問題の日(4月4日)の当日、あるいは翌日にレイプセンターに連絡したと記載がある。そこではどのような主張をしたのか?膝等怪我について主張していたのか?

そのレイプセンターには「チェックシート」があり電話相談記録が残っている可能性が高い。

なぜ証拠提出しないのだろうか?

 

(4)強姦等で告訴した被害者は不起訴であっても「捜査記録の一部」を閲覧、謄写ができる。「供述」調書の閲覧等は認められない場合があるが、客観的証拠については閲覧等が可能である。

とすると、性行為時にどのような態勢で怪我をしたかが「客観的」にわかる証拠が伊藤さん側は謄写が可能である。その証拠とは「実況見分調書」である。

伊藤さんが著書で柔道場で人形を使い、「彼女自身が」ポーズをとらされたというエピソードがあったが、まさに実況見分調書をとる時の出来事である。

そもそも、もし彼女の言っていることが事実であれば警察による重大な「セカンドレイプ」に該当すると考えるが、なぜ主張もしなければ、証拠も提出しないのだろうか?

実況見分調書を一審で証拠提出しなかったのはなぜだろうか?

 

3.午前5時の性行為(準強姦、強姦致傷はあったか)

 

以上から明らかなように「膝の怪我」が本当にあったのかは非常に疑わしい。

 

また、準強姦部分についても依然筆者が述べたように、疑わしい。

lionclover.hatenablog.com

 

筆者は午前5時の性行為は「無かった」と考えている。