伊藤詩織さんは原宿署で「怪我について捜査員に申告した」は本当か。性暴力救援マニュアルより

1.伊藤詩織さんは著書、あるいは裁判において

「(性行為があった5日後)4月9日に原宿署で性被害について申告した。」

「怪我等についても捜査員に申告した。」

と主張している。

 

ところが、告訴状では「怪我」について一切記載されておらず、民事訴訟においても性暴力だと申告して怪我等が記載されたカルテ、性暴力を再現されているはずの実況見分調書など、怪我を証明する証拠が一切提出されていない。

(なお、膝の受診については「性暴力原因」と申告していないもので、刑事事件には使えない。のみならず、控訴審において、伊藤さん側は、原審において膝の怪我については主張していないかのような意味不明な主張をしているとの情報もある)

 

怪我の証拠が無いという事実は、著書や裁判で主張している「意識がハッキリしたあとの強姦及び強姦致傷」が存在していないことの証左であると考えられるが、仮に捜査員に怪我の主張をした場合に医療機関でどのような検査がなされるか、「性暴力救援マニュアル」を参照しながら検証してみたい。

 

2.性暴力から5日後は「急性期」にあたる。

 

伊藤さんが警察に被害を申告したのが、事件後5日後であり、薬物等の場合は検出が難しい時期であると考えられる。しかし、被害後1週間程度の場合は「急性期」に該当し、身体に残された強姦の証拠を収集できると考えられる。

 

『ここでは証拠が残されている可能性がある。被害後約1週間の急性期における医療機関での診察、特に婦人科的診療の実際についてWHOガイドラインおよび国内文献にそって概説する』(p86、アンダーラインは筆者)

 

(1)上腕の怪我の可能性について

『3上腕、腋窩    特に、上腕内側に皮下出血がないか注意深く観察する。手でつかまれた被害者は、しばしば上腕に指による圧迫痕を認める。』(p88)

図2(p89)


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(2)乳首の怪我について

『8乳房と体幹   (一部省略、筆者) 乳房は暴力の対象になりやすく、しばしば噛みつかれるため、吸引による皮下出血または鈍的なものによる損傷を認める場合がある。』

(p90)

 

伊藤さんによると乳首に出血があったという。しかしながら、尋問において伊藤さんは片側なのか両側なのか答えることができなかった。また、ブラジャーからDNAの採取はできたが、血液等は採取されていない。

 

(3)下肢

『仰臥位で、各下肢を順番に持ち上げてもらい、前面から順番に、回転させながら全周を観察する。大腿内側は、押さえつけた指先による圧迫痕(下記図参照、筆者)または膝による鈍的損傷を受けやすい。これらは対称的に認められることが多い。』(p91、アンダーラインは筆者)

図2(p89)


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元谷整形外科によると膝の「右側」のみ

 

(4)損傷の時期

『1.外陰部以外   視診での変色斑(皮下出血)や表皮剝脱(擦過傷)の色変化から(ある程度の幅をもって)推定する。

 一般的に、淡青色・赤紫色→赤褐色→黄褐色→黄色の順に、色調は変化し、外力の作用した部位や程度、年齢、栄養状態の影響も受けるが、1~2週間前後で治癒する。』

(p107 赤字強調筆者)

 

伊藤さんが原宿署にて被害申告したのは事件後5日である。

 

3.結論:伊藤さんは4月9日に怪我を訴えていない。つまり怪我そのものが虚偽である可能性が高い。

 

性暴力救援マニュアルによると事件後5日というのは「急性期」に該当し、性暴力の「痕跡」を見つけることが十分可能な時期だということが理解できる。

 

被害後5日に伊藤さんが言うような「鏡に映った自分の姿、乳首等出血、あざ」「死にそうになると思った」「必死に挿入されないように抵抗した」「その時、ひざを痛めた」このような被害状況を捜査員に申告していれば、強姦の痕跡、証拠を残すために早急に病院に向かっていただろう。そして、客観的証拠である「怪我の痕跡」を残すことができたであろう。

事件後5日に申告することは決して証拠が消滅するほど遅くはないのである。

 

そして、そもそも原宿署や高輪署の捜査員に怪我について申告していないと考えた方が、高輪署の捜査員が彼女に言ったという「よくあること」という発言とも整合するのである。