非論理的な記者会見~山口氏側の記者会見、裁判資料の公開を望む
伊藤山口裁判の最高裁判所の判断が出たということで、7月20日に伊藤詩織さんが記者会見を行った。
記者会見内容に多数の問題点が発覚したので、指摘していく。
記者会見は約1時間半ではあるが、重要部分の時間を示していくので、参考にしてもらいたい。
1 西廣弁護士の発言について
①(11:00~)
「包帯を巻いて、足を引きずる」
カメラを抱えての面談、日頃伊藤氏はスキニーパンツを履いていること
以上から、膝が見える服装をしている可能性は低いのではないか。
西廣さんはどのようにして包帯を見たのだろうか。
また、整形外科受診は4月上旬に一度しか行っていない。なぜその後受診していないのだろうか。
②(12:20~)
「嫌疑不十分とのことで、不起訴。起訴猶予ということ」
弁護士に法的用語の話をしなければならないことに驚く。
嫌疑不十分による不起訴と起訴猶予による不起訴は全く異なる。
司法統計上もそれぞれ独自にカウントされていることからも明らかである。
あたかも刑事で嫌疑が十分であるかのような誤解を与える表現は謝罪、訂正すべきではないだろうか。
なお、伊藤氏は虚偽告訴、名誉棄損罪について、嫌疑不十分による不起訴処分となっている。
西廣理論を当てはめれば、伊藤氏の刑事事件としての名誉棄損罪について「無罪ではない、疑いが残る、起訴猶予である。」との主張が可能となる。
③(17:30~)
「高裁山口氏の意見陳述について」
当事者の供述の信用性が問題になる中、「嘘」との表現は合理性を欠くものではないのではないだろうか。一方当事者の主張を不当に制約することには許されない。
なお、伊藤詩織氏の「嘘」については高裁でも事実認定されている。
高裁「4月4日産婦人科受診においてカルテ記載どおりの時刻を申告した」
地裁本人尋問時「明け方としか言っていない」
また上記以外にも、裁判全体を通して多くの嘘が発覚したが、一点だけ明らかなものを指摘しておく
伊藤陳述書「アフターピルを飲んでいたところから多分大丈夫(4月17日産婦人科受診時の心情)」
受診翌日4月18日のメール「今は妊娠してしまったら働けなくなってしまうという恐怖でいっぱいです。」
2 佃弁護士の発言について
佃弁護士の発言には問題点が多いので、発言全体について聞かれることをお勧めします(19:00~25:20)
①真実性真実相当性の法理はマスメディアだけの特権なのか
私人間においても適用されている (東京地裁平成27年6月24日など)
よって間違いです。
②正当防衛類似の法理がこの問題に妥当するか。
佃弁護士の主張はおそらく「対抗言論」の考え方なのだろう。
そもそも引用した最高裁判決は言論vs言論の問題である。
ところが、本問は「性加害」vs「言論」である。性加害によって侵害されるのは主に身体的なものであり、名誉とは関係が薄い。
したがって、異なる保護法益(守られるべきもの)に正当防衛の法理を用いるのはそもそも無理があるのではないだろうか。
③ 仮に正当防衛類似の法理を本問に適用した場合にどうなるか
佃弁護士は都合の悪い要件を無視し著しく雑な議論を展開している。
民事で正当防衛が成立するためには不法行為を行うことについて「必要性・相当性」が必要である。本問題ではそのいずれも欠いていると言わざるを得ない。
不法行為(防衛行為)の必要性
他に危難を回避する適当な手段がない
→そのもの性加害という危難を回避するための必要な手段とは言えない。
なお念のため記載するが、被害を語ることそのものは性加害に付随する精神的な被害回復に資することは否定しないが、実名を挙げて、記者会見で告発することが、「危難を回避する適当な手段」ではないものと考える。
不法行為(防衛行為)の相当性
防衛行為に必要な程度を超えていないこと
→デートレイプドラッグの主張は明らかに限度を超えている
④ 佃弁護士の主張の根本的な間違い
高裁は性被害者が被害を公表することそのものを違法としているのではない。
あたかも、被害公表そのものを否定されたというような佃弁護士の主張は悪質な印象操作と言わざるを得ない。
また、法的議論を離れて常識的に、伊藤さん的に言えば「自分事として」考えればよくわかる。
性被害者が被害を語ることそれが、捜査機関であったり、クローズな場所であれば、例えばデートレイプドラッグの可能性を語ることに問題はない。
しかし、これが、実名を明かし、記者会見、各種取材、著書、世界中に喧伝するのであれば、その主張事実に相当の根拠がなければならないことは至極当然のことだろう。
さらに付言すれば、性被害に限らず、人を記者会見で「思っただけで」「極悪犯罪人」であるかの如く主張することが許されるはずはない。
以上佃弁護士の主張には問題点が多い。
法クラによって徹底的に議論されるべきと考える。そして法クラの自浄能力がまさに問われているのではないだろうか。
3 望月記者の質問に対する伊藤氏の回答
(32:50~)
「指紋を取られた」
伊藤さんは虚偽告訴、名誉棄損罪の取り調べ時に逮捕か身体検査令状が出ていたのでしょうか。
4 小川たまか氏の質問と佃弁護士の回答
(33:20~)
小川さんの問題意識は非常に優れたものだと考える。伊藤氏はジャーナリストとして、一般性被害者よりもきちんとした証拠をそろえて発言すべきだった。言い換えると、ジャーナリストだからこそ厳しく判断された、そのように考えての質問だったと推測する。
しかし、佃弁護士はその考え方を一蹴した。
伊藤氏側の高裁の準備書面の中で、ジャーナリストであること、または公共性など、佃弁護士が「マスメディアの特権」と考えた主張を自らしていたことをご存じないのだろうか。
処分権主義の初歩の問題にもかかわるように思えるのですが・・・。
5 伊藤氏の「開かれた司法」「壁」発言
(56:10~)
伊藤氏の主張には大きな矛盾がある
「福岡の方に東京地裁に行って証拠を見てくださいとは言えない(遠方だから)」
「開かれた司法」「すべての人にオープンではない」
伊藤氏側は裁判資料について広範に閲覧制限をかけていた。証拠に限らず、判決文さえも閲覧制限の対象としていたようである。
つまり、クローズな司法にしたのは伊藤氏本人である。
伊藤氏の「開かれた司法」という主張から考えると、山口氏は基本的に全ての裁判資料を公開することが可能となったと考えてよいのではないだろうか。
上記の私の主張に対して、閲覧制限の必要性があっての事だ。との反論が考えられる。
確かに、プライバシー等一部制限すべき事があることは否定しない。
しかし、伊藤氏は都合の悪い証拠について閲覧制限をしていることが明らかであるので、指摘しておく。
2018年8月頃、ネット上に産婦人科の証拠が流出した。(後に閲覧制限)
その診断書の内容から著書、記者会見での発言に虚偽があることが判明した。
①生理がなかった期間②出血により妊娠検査不要、つまり避妊に成功していたことを認識していた③記者会見にて4月17日の受診目的を体全体を指さして身体検査のためと主張していたが、膣の痛みが受診目的であり、乳首の出血等の検査目的ではないこと
以上から、他にも自己に不利益な内容を含む証拠などに閲覧制限をかけていた可能性が否定できない。
6 山口弁護士の発言について
(1:02:00~)
一審の意見陳述内容「痛みで目が醒めるまで記憶がない」
→検事秘密録音により、午前5時前の記憶が蘇ったこと、捜査一課の取り調べ時2015年7月3日付け調書で明らかとなった。
また地裁本人尋問時被害について忘れたり、思い出したりすることはないと伊藤氏自ら証言している。
したがって、記憶がないは虚偽である。
「被害を訴えられなくなる」
佃弁護士と繰り返しになるが、被害を語ることが、性被害者にとって重要であることに異論があるわけでなく、「実名を挙げて、公の場で、世界中に、相当の根拠に基づかない主張をすることに対して、名誉棄損が成立する」ということである。