伊藤詩織さんの飲酒量に関する意見書について 1

 1.そもそも裁判ではデートレイプドラッグを主張していない

 伊藤詩織さんは著書ブラックボックスにおいてデートレイプドラッグを使われたと疑っていることを主張している。

 伊藤さんは自らが酒に強く、記憶している飲酒量では記憶をなくすはずはないというのがデートレイプドラッグを使用されたとする根拠のようだ。

 なお、注意すべき点として新潮やBBC放送では著書より飲酒量を少なめに申告していることを指摘しておく。

 

しかし実際の民事訴訟においてはデートレイプドラッグを使って性暴力を受けたとの主張はしていないようだ。

 民事訴訟で認定されたのは飲酒による強度酩酊である。

そして飲酒に関して原告側から出されたものに、山口大学藤宮龍也教授による意見書がある。

 

 2.意見書とはどういうものなのか 酩酊度判定基準とは

(1)藤宮龍也教授は法理病理学をご専門にされておりアルコールに関する研究、刑事事件のアルコール関係の鑑定の依頼も受けている。また、日本アルコール・アディクション医学会の理事長もされている。経歴、実績ともに信頼性の高い人物であると推測される。

 意見書の内容については裁判所で閲覧された方々が断片的に伝えていた。その内容はおおまかに言うと、被告の主張する飲酒量について否定していたというものだった。

 私は被告の主張する飲酒量をどのような根拠により否定したのか興味があった。飲酒量と酩酊度は個人差が非常に大きいと体感していたからだ。

 私の父は大酒呑みで、ウイスキーボトル一本を飲んでも平気な人だった。一般的にも酒の強い人、弱い人で酔い方は大きく異なることに異論がある人はいないであろう。

 

(2)酔いの程度はどのように判定されるのか、サントリーのサイトで体重、飲酒量などを入力しただけで酔いの程度が判定されるものがあった。

 

https://www.suntory.co.jp/arp/alcohol_calculation/

 

 興味のある方は是非入力してみてほしい。

 私はおおむね飲酒量と酩酊度は合致していたが、父の例では昏睡期と判定されたが、実際は酩酊初期程度である。

 酒が強いと自認されている方であれば、上記基準と合致しないと感じる人がほとんどではないだろうか。

 伊藤さんは著書において自ら酒に強く、二人でワインボトル3本空けたことを書いている。また、アエラにおいて伊藤さんの友人は「誰より酒に強い伊藤が」と語っている。

 

(3)意見書の全文について把握することはできなかったが、伊藤詩織さんの裁判資料を多数掲載してくださっている小林章さんのツイッターに一部概略が掲載されていた。

その内容は上記とほぼ同様の基準で判断されたと推測され、非常に驚いた。

 では意見書とはいかなるものなのか、次に検討していく。