伊藤詩織さんと検事3 検査をしたいのかしたくないのかどっち?

1 イーク表参道受診の目的

 

(1)第1回検事取り調べにおいて、イーク表参道受診について以下のような話がある。

「イーク表参道にて「検査」を受けようとしていたのか?」この質問に対して、伊藤さんは「そうですね」と特に否定していない。

さらに、以下のような証言をしている

(第1回取り調べ)

伊藤 そうですね。本当はあそこで検査や、事情をきいていただけたら、本当にずいぶん違ったんだろうなというふうに今、振り返ると思うんですよね。(引用終わり)

 

 (2)ところが、その後2回目の検事取り調べにおいて「検査」とはどのような検査をしたかったのですか?との質問に対しては、検査をしたかったというよりは、とにかくピルが欲しかったと1回目とは異なる証言をしている。

 「検査」をしたかったとの主張は被害届にも記載されているとして、検事は繰り返し確認していた。

 そして質問、確認に対して伊藤さんは「性病検査はその時点でやったとしてもでてこないことは知識として知っていた」と回答。彼女のいう検査とはもっぱら性病検査を意味し、その必要性の無い事を主張していた。性感染症についてかなり詳しい知識をおもちのようである。

また、当時、状況把握ができていたことも明らかとなった。

 被害届提出時、第1回検事取り調べ時では検査を肯定していたが、第2回取り調べにおいては一転して検査必要性を否定しており、ここでも主張が変遷していたことになる。

彼女の供述の信用性が低くなる一つの事実であると考えられる。

 

2 もの凄い痛みと検査の必要性

 

 (1)性器に痛みがあっても婦人科的検査を主張しない不思議

 筆者が注目したいのは変遷に加え、伊藤さんの性被害の主張との関係性である。

 「ものすごい痛みで目が覚めた」については、検事取り調べ(第1回)から民事裁判に至るまで一貫して主張している。4月17日まつしま病院受診目的にもそう書いてある。

 彼女の主張をおさらいすると、午前5時頃凄い痛みで目覚め、その後強姦致傷と考えられる性被害を受けたのち、午前6時頃原宿自宅に戻り、その後午後2時頃近所の婦人科イーク表参道にアフターピル処方目的で受診したとのことである。

 受診数時間前にもの凄い痛みで目が覚め(著書では裂けるような下腹部の痛みみとまで記載)、しかも性行為直前の記憶もない場合、どのような検査が必要だと考えるだろうか?

もの凄い痛みから心配するのは異物挿入などではないだろうか。

とすると、性器の検査、いわゆる内診をしてもらおうと、ほとんどの人は考えるのではないだろうか。

 

(3)検査を性病検査とだけ考えていたのはなぜか

 伊藤さんが、検査とはもっぱら性病検査のみを主張、その必要性を否定するのみで、内診に思いもよらないのは極めて不自然だと考えられる。

 しかも、その時性病検査をしても、(性病が)出てこないことは知識として知っていると検事に対して話している。受診当時冷静だったことが伺われる。

 またラジオ番組でアメリカで緊急避妊薬購入の経験があると、自ら話していたが、性病検査についてもかなりの知識をおもちのようである。

 さらに第1回検事取り調べにおいて「検事は膣の痛みをさして、通常この場合強姦致傷となる」と言ったことに対して、伊藤さんは膣の痛みの話、内診の必要性を話すのではなく、唐突に膝の話を始め、膣の痛みの話はしようとしなかった。

 

(4)もの凄い痛みはなかった 

 検査の話の中で、膣の検査を全く主張しないのはまさに「もの凄い痛み」がなかった。つまり性暴力としての膣損傷がなかったからこそ検査の必要性を感じることなく、検査の必要性について否定したのではないかと考えられる。

 

検査をしたいのかしたくないのかどっちなんだい?

【放送事故】なかやまきんに君にツボったNHKの一橋アナ&その後の対応 - YouTube

 

伊藤さんは自ら提出した証拠で、性暴力による膣の痛み、損傷がなかったことを示したことになる。

 

(補講)

 なお、控訴審判決によると、山口さんの供述の中に性行為中に伊藤さんが「膣の痛み」を言ったので、性行為を終了したということが書かれている。

 膣の痛みは事実だったと考えられる。もっとも山口さんの主張によれば、通常の性行為で起こった痛みであり、性暴力が原因ではないことになる。

 この場面を通して、伊藤さんの主張の特徴を指摘しておく。

 伊藤さんの主張の特徴的なのは、事実(真実)に嘘や誇大な表現を含ませることである。

 例えば、明確なものとして、「元検事のおじ」がある。「元副検事の大叔父」が事実である。また、英語を十分話せることは事実である。しかし、履歴書では「ネイティブレベル」と記載されているが、複数の方がそのレベルには達していないとの指摘がある。また、スペイン語日常会話レベルとの記載もあるが、そのレベルには達していないとの指摘もある。

 以上からすると、例えば、膝の怪我についても、著書や、カルテにあるように取材時に変な座り方をして膝を痛めたのは事実である可能性はある。もっとも、それが性暴力が原因でないことも推測される。