控訴審判決批判 友人陳述書 終わりと始まり

1 友人(二人)陳述書の2つの信用性について

 控訴審判決では伊藤さんの供述の信用性について、友人に性被害を申告したこと、その内容が著書や裁判で主張した内容と一致していることが度々登場してくる。

 友人陳述書が控訴審判決で最も重要な証拠であるにもかかわらず、その信用性について検討している記載は見当たらない。客観的証拠が乏しい中、友人陳述書が果たして適切なものかどうかが検討されていない事は、公正な裁判を受ける権利の侵害にあたる可能性があるのではないだろうか。そこで、友人陳述書の信用性について検討する。

 まず、友人陳述書の信用性の問題には、大きく分けて2つの観点から検証すべきであると考える。

①1つ目は、友人自体の信用性である。伊藤さんの話をきちんと記憶し、過不足なく陳述できているかが問題となる。また、信用性判断にあたって、伊藤さんとの関係も問題となる。

(注意:なお控訴審判決の論理破綻2で説明したとおり、理論的に友人陳述書の証拠価値が減殺されている)

②2つ目は、伊藤さんの信用性、言い換えると、友人に真実を話しているかどうかである。

2 ①友人の信用性

 友人2人の信用性、についてそれぞれ検討していくにあたって、幼馴染で看護師の友人をS、もう一人をKとする。

 (1)Sの信用性

 Sの信用性については、既にtassさんが詳細に検討している。

看護師Sの陳述書|tass|note

 5月8日に伊藤さんが送信したメールを5月7日に見たと書いている。友人がメールを見たのは本当はいつなのであろうか?信用性に大きな疑問符が付く。

なお、控訴審判決ではタクシードライバーの陳述書について、ドアマンの陳述書や、ホテルの映像という客観的証拠によって、矛盾点が指摘され、その信用性が大きく低下した。同様に、メールという客観的証拠によって、信用性を判断すべきではないだろうか。

 (2)友人Kの信用性

 友人Kについてもtassさんnote

友人Kの陳述書より|tass|note

    紅而さんnoteが参考になる

詩織さんと友人Kの関係についてのアレコレ|紅而note|note

 Kさんの信用性で問題となるのは、伊藤さんとの近い関係性である。

いつ何を言ったのか、詳細にわかる関係でもある一方で、その公正さについては疑問符がつく。

 伊藤さんが2017年5月に記者会見を行った直後、6月8日のラジオ番組に2人で出演している。

 

 (3)両者に共通する信用性についての問題点

 両者の陳述書はそもそも検察審査会提出用に書かれたものである。その時期に同時に著書が執筆されていたことも明らかである。そして、書かれたのが被害申告から2年が経過している。また、2年前に捜査一課において共に調書が取られているようだ。2年前の被害申告内容と、検察審査会時点での主張の差異を峻別できているのか、また記憶が汚染されている可能性もないとはいえないだろう。

 

 

3 ②伊藤さんの信用性 友人に本当のことを話しているのか。

 この点、控訴審判決では、伊藤さん自身の供述の信用性を友人陳述書との一致性に求めている。しかし、前述のとおり、伊藤さん自身の虚偽性によって、友人陳述書を根拠にできないことを控訴審判決は示してしまっている。

 では、伊藤さんの信用性について適切に評価できる証拠はないのであろうか。

 

4 伊藤さんの証言自体がわかる決定的証拠~検事秘密録音

 これまで明らかにしたように、控訴審判決において伊藤さんの供述の信用性を担保する決定的証拠としていた、友人の陳述書について、2つの信用性のいずれにも問題があることが判明した。

 そして、友人陳述書よりもはるかに公正で、伊藤さんの供述の信用性を人を介することなく検討できる決定的証拠、検事秘密録音が、控訴審結審直前に提出されている。

 最近、検事秘密録音証拠を転記された方からご厚意で資料を手に入れることができた。そこには驚くべき伊藤さんの証言が多数あることがわかった。 

 

 

 いままで読んでくれた読者の皆様にお知らせがあります。

 

 実はいままではあくまで序章であり、これから本編の始まりです。

検事秘密録音編をお楽しみに!