80%の真実とは 優しい説明の試案
1.避妊率と妊娠阻止率の説明の続きです。計算式が登場しますが、難しくないものですので読み続けてください。
避妊率の計算式
(避妊できた人の数)/(アフターピル服用者)×100
妊娠阻止率の計算式
(妊娠が予測される人数)̠−(妊娠してしまった数)/(妊娠が予想される数)×100
妊娠が予想される数とは性行為の中で実際に妊娠する数はどのくらいか想定した数です。
各種資料を検討した結果、今回は全性行為の中の15%が妊娠するような性行為だったという前提で説明します。
(具体例)
100人が72時間以内にアフターピルを服用したとして、実際に避妊できた人が97人(妊娠した人3人)とします。
避妊率 97/100×100 =97(%)
妊娠阻止率 (100×0.15)−(3)/(100×0.15)×100 =80(%)
このような計算になります。
では次に24時間の場合の避妊率99%、48時間の場合(97%)、72時間(95%)の場合を使って妊娠阻止率を見ていきましょう。
妊娠阻止率
24時間以内の場合
(100×0.15)−(1)/(100×0.15) =93.3(%)
48時間以内
上記72時間平均と同様結果80(%)
72時間以内
(100×0.15)−(5)/(100×0.15)×100 =66.7(%)
中々興味深い結果だと思いませんか?
以上はあくまで計算によって出した推測ですが、
実際の調査によるデータでは
24時間以内95% 48時間以内85% 72時間以内58%
となっています。
以上の事からわかること。
①この計算式は確率の初歩であるが、実際のデータと比較的近似できているということがわかります。数学って大切ですね。
ここから重要になってきますが、
②妊娠可能性の高い性行為であればあるほど、アフターピルを早く服用することが大事であるというのがわかるでしょう。
この点について伊藤詩織さんのアフターピルの議論の中で医師と思われる方が「72時間以内に服用すればよい、時間はあまり重要ではない」等の発言がありましたが、この簡単な計算式をみればわかる通り不適切な発言だとわかります。
アフターピル服用時に問診で「性行為の時間」の他に「最終月経日」「生理周期が不順かどうか」を聞かれる(問診票に書く)のは、妊娠阻止率との関係でより正確に把握するためのものと推測します。
妊娠阻止率とは何を意味するのかがわかってきたのではないかと思います。
2.以上を踏まえて「優しい説明」とはなんでしょうか。
まず、基本的なアフターピルの服用時の説明としては、わかりやすさを優先して避妊率の説明でよいのではないでしょうか。
もっとも、性教育の場面、あるいは生理、排卵日等の知識がある場合は上記のような説明も必要だと思います。
きちんと妊娠阻止率の意味を説明した上で数字を示すべきではないでしょうか。
そして、妊娠阻止率の数字と示す場合に72時間平均のみを出すことは個人的には少なくとも不十分と考えます。
元々誤解をまねく表現なことに加え、妊娠阻止率を出すのではあれば、24,48,72時間ごとの数字を出すべきだと考えるからです。これが、「優しい説明」の1つではないでしょうか。
時間ごとに数字を提示することによってはじめてアフターピルは
「妊娠の可能性が高い性行為であればあるほど、できるだけ早く服用することが大切」なことが理解できるからです。