97%と80%の謎 本気で被害者の事を考えているのか

1.アフターピルの服用経験がある方、あるいはアフターピルについて調べた事のある方はタイトルのような疑問をもったことがあるのではないでしょうか。

シオリーヌさんのyoutubeのコメント欄にも同様の疑問が質問されています。

 

もう一度アフターピルの効果についての説明を記載します。

 

筆者の記載

 「72時間以内にアフターピルを服用した場合妊娠しなかった人の割合は平均しておおよそ97%です。100人飲んだとして、妊娠しなかった人が97人ということです。」

 

NPO法人mimosasの記載

注 NPO法人mimosas(申請中)は10/5に「非営利団体」mimosasに変更になったようです。

NPO法人申請中と記載しながら、実際には未申請だった可能性があります。

https://note.com/mimosas_jp/n/nd6cdd6f7c64d

 

アフターピルとは緊急避妊薬とも呼ばれ、性行為のあと72時間以内に摂取すると、約80%の確率で妊娠を防ぐことができる薬です。」

 

 

 この2つを見比べて同じ薬の話をしていると思うでしょうか。しかもどちらの記載も間違いとは言えません。

 

この不思議とも言える話のからくりはアフターピルの効果について異なる観点から表現しているから生じてくるものなのです。

 

 

2.避妊率と妊娠阻止率

 

タイトルの疑問の答えは

筆者の説明は「避妊率」による説明

mimosasの説明は「妊娠阻止率」による説明

なのです。

 

避妊率とはアフターピルを服用した人の中で避妊という結果になった人の割合を表したものです。

 

一方妊娠阻止率とは妊娠しそうな性行為があった場合に実際に薬によって妊娠が阻止された人の割合を表したものです。 

薬が本当はどのくらい効果があったのかの割合を表したもので、言い換えるとアフターピル実効効果率と言えばわかりやすいでしょうか。

 

避妊率と妊娠阻止率については性行為の性質について少し考えるとわかることです。

すべての性行為が妊娠するものでしょうか。簡単ですね。そんなことはないわけです。

排卵日との関係で、「危険日(妊娠可能性が高い日)」があることからもわかります。 

 

性行為の中でも妊娠につながらないものと、妊娠になるものの2種類があるからこそ、避妊率と妊娠阻止率の数字が異なるのです。

 

では、実際にアフターピルを服用する人にとって避妊率と妊娠阻止率のどちらを知っていることがより必要でしょうか。

 

排卵日等を把握して性行為をしている場合は妊娠阻止率のほうがよいでしょう。

しかし、排卵日を把握していない性行為の場合

(特に未成年者の場合は生理が不安定だったり、基礎体温などで排卵日を把握していないあるいは把握困難な場合が多いだろう)

は避妊率のほうがより実態に即した説明と考えます。

また、正確にわかりやすくという観点からみても、妊娠阻止率の説明はやや難しく、妊娠阻止率を避妊率と勘違いするケースが多くその点からも問題があります。

実際調べてみると、産婦人科医のHPでも、妊娠阻止率を避妊率として間違った説明がなされている例が複数ありました。

筆者のツイッターによるこの問題についてのアンケートで約半数の人が勘違いをするのはある意味当然なのです。

 

以上から、アフターピル服用希望者に対して妊娠阻止率よりも避妊率での説明のほうが妥当ではないかと考えます。

 

そして、実際的問題点として避妊率を本当は97%なのに80%と誤解した場合、結果的に過度に心配をあおる結果になってしまうのではないでしょうか。

特に性被害の場合は不安の中にあります。だからこそわかりやすく、正確な情報を伝えるべきではないか。その点でmimosasの記載はやや「優しくない」記載ではないかと考えます。

 

次節では80%について、80%だけを記載することの配慮不足、優しさの欠如について考察します。